【第22回】「~活」ってどうなのよ?
新人社員ナルミの「教えて編集長!」
(実は3年目に突入したナルミ。もう新人社員では無いので、コーナー名を変更する動きがあるのだが、当の本人は何故か反対している。「三年目ナルミの~」となると内容とギャップで自ら首を絞めることになるからではないかと噂されている。)
今回は最近よく言われるようになった“~活”ということについて
いつから誰がそう呼んだのか「~活」
確かに活動してるっぽいし、「~活中」って聞くと、アクティブな人、前向きな人のイメージもします。
でも、「~活」「~活中!!」と言うのはどういう状態かよくよく考えると…….
さて今回は、そんなお話です!!
編集部員:ナルミ 今年の春、恋タメ編集部にやってきた、入りたてホヤホヤの新入社員。 明るく積極的な性格が災い(?)して、今回この企画に大抜擢。 入社一カ月目にして、すでに編集部のマスコット的存在。 |
|
編集長:エアロ酢味噌 泣く子も号泣の、恋タメ編集部の名物”鬼”編集長。 …とは言え、義理人情に厚く、面倒見も良いので、実は意外にも(?) 皆に好かれている。 曲がった事が大嫌い。 ちょっと頑固で古臭い一面も…。 |
Scene 22 朝イチの編集部にて…
おはよーございまーす!!
おっ、今日は朝から元気がいいな
はい、最近アサカツを始めたんです!
アサカツぅ?
朝活、ですよ。
朝、出社前に何か活動をすることを言うんです。私はヨガをやってるんですけど……
いやー、『活』ってつくと、何となく『ヤッテヤター! 』って気分になりますね
最近は○○活ってのが流行っているみたいだなぁ~
そうですよ、編集長。
私は朝活のほかにも恋活もやってます!
コイカツ? 恋愛活動って意味か?
そうです。 早く彼氏ほしいな~と思って……友達グループでの月2回の合コンは欠かしません!
バッカモーン……と言いたいところだが、
まぁこれは怒鳴る前に
ひとつじっくり語る必要がありそうだな
わっ……どうしたんですか、編集長らしくない
まぁ聞け。ところで○○活っていうのは、たとえば他にどんなものがあるんだ?
そうですねー。婚活は有名ですよね。あとは転活、離活、あと妊活に保活、それと就活もありますね
ちょっと待て、最後の就活しか俺にはわからんぞ……他のはどういう意味なんだ?
転職活動、離婚活動、妊娠活動や
保育園探し活動ってことですよ
何だか……いちいち仰々しくなってるなぁ。
それに妊娠活動っていわゆる……ウムーーー
まぁ、そういう流行ですから
それがイカンといっているのだ!!
じゃあ何だ??
生産活動は「生活?」
お茶やお花など日本人らしい活動は「日活?」
養豚業は「とんかつ?」
ゴールキーパー川口のいいプレーは…
「良し活?」 か~っ!?(※サッカー日本代表川口選手の名前はヨシカツ)
へ、編集長落ち着いて下さい!
注釈つけなきゃわからないようなことを大声で言っても……ほら、今、この画面見てる人ついて来られてないです!
――――まーた編集長のいつものカンシャクが始まった。だいたいモノゴトを四文字に略すなんて、日本人なら昔からやってることじゃない。
それをどうして今さら……
あっ、お前今、四文字に省略するなんて昔からフツーにやっていたことじゃないとか何とか思っただろう!!
ひ、ひえぇぇぇっ!! お、思ってませんんん!!!
まぁ昔から学生言葉で、食堂は学食、部活動は部活などと略していたし、学活なんて授業もあったな。
しかし、それらは略しても何を意味しているのかはわかる。だが、『朝活』!? 『転活』!? 『保活』ぅぅ!?
まぁったくわからんわあああー!!!
わああ編集長落ち着いて!
若者の文化に追いつけないからって
雷落とすのは止めて下さい………
……………あっ
ぶ、ぶ、ぶ、ブワァッカモーン!!!!!!!!!!
ああっ! 口は災いのもと!!!
いいか、何も俺は時代が生んだ流行語にいちいちケチをつけようというのではない。
だがな、○○活=活動すること、
というイメージが定着するのはいかがなものか、と思っておるのだ
ハ、ハァ……(何が何だかよくワカラナイ……)
もちろん仕事だって同じだ。
ひとつの仕事をしているときに他の仕事に興味を持ったり、
自分には興味がなくても取引先や知り合った先から声をかけられたり、
こんな仕事は自分には合わないのではないかと同僚と飲みに行った先で愚痴を言い合ったり……。そういうことを本人たちはわざわざ○○活している、とは考えないはずだ!!
――――まぁ、たしかに特別な行為ではないし、わざわざ○○活ってつけるようなことじゃないよね。
えぇ、まぁ。そんなことまで○○活って呼んでたら、活がいくらあっても足りません!
だが、それはまごうことなき生産活動だ。
生きていくための活動だ。
つまりだな、要はみんな、今、
こうやって迷いながら先に進もうとしていること=何かの活動中ということなのだ。
それをことさら何かひとつ、ふたつだけを取り出して「○○活」という表現にするから、何か特別な行為をしているように感じてしまうのだ
うっ……!?
結婚相手探しを『婚活』と呼んでしまうことで、
例えばだが、恋愛だとかお付き合いだとかを
『負担や無理のない社会的共同生活を手にするための活動』
などと仰々しく考えてしまうところもあるんじゃないか。本来は好きだという感情や、
信頼感といったものがいちばん最初に出てくるものだろうに
で、でも朝活は~……
同じことだろう。
朝、仕事前に何かすることを
わざわざ朝活などと呼んでしまうと、
『活動すること』自体が意味を持ち、
何をするのか、それがなぜ役立つのかといったことが見えにくくなる。
どんな○○活だってそうだよ。
目的と手段がだんだんずれてきて、最悪の場合は入れ替わってしまう。
悪循環だな。
自然にしていれば恋人に巡り合えるものを、○○活だ!
と気合を入れすぎて、逆にチャンスを失っている人も多いんじゃないのか?
月2回の合コン……たしかに少し負担になってます……。
す、少しですけど……
少しだろうがたくさんだろうが、だ。
あまり○○活という言葉に惑わされることなく、
興味がある、意識している、
だからそれをちょっとのぞいてみる、やってみるという自然体に一度戻ってみればいいんじゃないか?
略語は言いやすいし、韻を踏めば言葉遊びとしては楽しいかもしれないが、
逆に略した人間がその略語に遊ばれるのは情けないぞ~
でも編集長だって、しょっちゅう略語に遊ばれてませんか?
お昼前には、たまにブツブツ言ってる……
な、なに~。俺が何を言っているっていうんだ?
ぎょーてー、ぎょーてーって。餃子定食のことばっかり言って……
うっっっっふぅ、
……おっ、お前、俺の今までの話、理解できたのか?
本当ぉ~に理解できたのか!??